10. 「公私のけじめ」をつけさせ,「機密保持」の徹底を


◆ 権利と義務をわきまえさせる

 会社に就職するということは,会社に雇われて仕事をする雇用契約を結んでいるということになります。法律用語では,労働契約になります。
 労働契約は,労働者(従業員)が労働力を提供し,使用者(会社)が賃金を支払うという関係を成立させる双務契約です。
 労働契約の原則からいうと,社員の義務は「仕事をする(労務の提供)」です。これは,「会社(上司など)の指揮命令のもとで職務に専念する義務(職務専念義務)」を指します。
 このほか,会社との信頼関係を維持するために,守秘義務や会社の信用を傷つけないなどの忠実義務も求められます。これに対して,会社は仕事に対する報酬である賃金支払いの義務などがあります。
 それぞれの義務を裏返せば,それぞれの権利になります。これから会社で仕事をすることになる新入社員には,この権利と義務の関係をきちんとわからせておく必要があります。

◆ 「公私のけじめ」をつけさせる

 労働契約のもとで働く以上,労働者の公私混同は許されません。違反行為があれば,懲戒処分の対象にもなります。
 これを避けるためには,「公私の境界を知る」ことが大切です。たとえば,会社にあるものはすべて会社の持ち物ですから,ボールペン1本,コピー用紙1枚であっても無断で持ち出せば窃盗罪になります。接待費を水増し請求すれば詐欺罪になります。
 また,職務専念義務の観点からすれば,無断外出や仕事と関係のない無駄話などは義務違反だといえます。
 「公私の境界」は,右ページの表などを使って確認させるとよいでしょう。少し厳しいと感じるぐらいのほうが,新入社員のいまだから効果があるのです。

やってはいけない公私混同の例

物・金

@ 会社の物を自宅に持ち帰る

A 社用の便せん,封筒,ボールペンなどを私用に使う

B 商品サンプル,切手などを勝手に持ち出す

C コピーなどの事務機器,器具類を私用に使う

D 重要書類や機密文書を自宅に持ち帰る

E 私用電話をかける(残業で遅くなることを家族などに連絡する場
  合も,個人の携帯電話や公衆電話を使う)

F 机やロッカーを乱雑に扱う(私物などでいっぱいにする)

G 接待費などを水増し請求する

時間・勤務態度

@ 始業時間や休憩時間を自分の都合でずらす

A 無断欠勤や無断外出をする

B 勤務時間中に,仕事に関係のない本,雑誌,新聞などを読む

C 勤務時間中に,私用の手紙を書くなど個人的な用事をする

D 勤務時間中に,無駄話をする

E 人の悪口を言ったり,噂話を流す

F 外出時に,ついでに個人的な用事をすませる

G 個人的な付き合い,友人の来訪を勤務時間中にする

H 会社に無断でアルバイトをする


◆ 「機密保持」の重要性を強く意識づける

 会社の機密を守ることは,社員としての重要な義務です。親しい友人や取引先の人になにげなく話したことが,のちのち大問題になることもあります。
 特に個人情報については,顧客リストや社員情報を社外に持ち出さないことはもちろんのこと,その取り扱いには十分に注意させます。また,重要書類をデスクの上に放置しないことや,コピーを捨てるときはシュレッダーにかけることなども指導しておきましょう。
 さらに,会社帰りの電車の中や居酒屋など不特定多数の人がいる場所では,相手が自社の人であっても,おおっぴらに仕事の話はしないほうがいいでしょう。たとえば,未発表の新製品の話をライバル会社の人に聞かれてしまうこともあるからです。

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