7. 評価をする前に知っておきたい「評価エラー」集


◆ 人事評価には陥りやすいエラーがある

 人事評価は,人が人を評価するものなので,評価者の主観や感情に影響され,どうしても適切な評価が妨げられてしまいがちです。こうした評価者が陥りやすい心理的な間違いを「評価エラー」といいます。この評価エラーは,人間の心理的なものであるがゆえに,有効な防止策はあまりないのが実情です。
 では何も手を打てないかというと,そうではありません。評価者が陥りやすいさまざまな評価エラーについて事前に理解し,自身の評価判断の傾向を認識することで,ある程度の予防は可能となります。こうした取り組みが,評価エラー防止の第一歩となります。

◆ 評価エラーの種類とその対策

 ここでは,代表的な6つの評価エラーについて見ていきます。また,評価エラーの内容をすぐに思い出せるように,キーワード化もしていますので,評価をする前に思い出し,自身の傾向を認識して,評価に臨んでください。
@ ハロー効果
 「彼は以前に社長賞を取ったことがある」とか「○○大学の出身だ」とか,一部の出来事や印象,その他際立った特徴に引きずられ,実際よりも高い評価をつけてしまうことを「ハロー効果」と呼びます。部下の全体的な印象で評価をするのではなく,目標達成や業務遂行において取り組んだ具体的事実をきちんと把握して評価することが必要です。
A 中心化傾向
 「こんな厳しい評価をつけたら,どう思われるかな」とか「ここでA評価をつけたら,部長から説明を求められそうだからB評価にしておくか」など,部下への気遣いや,情報不足からくる自信のなさなどが影響し,評価結果が「標準」や「普通」といった真ん中の評価に偏ることを「中心化傾向」と呼びます。こうした状況を避けるため,十分な情報収集とともに自信を持った判断を下すことが求められます。

「評価エラー」と防止に役立つキーワード

評価エラー

キーワード

 @ ハロー効果

 好き・嫌いや印象で評価しない

 A 中心化傾向

 メリハリのない評価を避ける

 B 対比誤差

 「自分」を基準にしない

 C 論理誤差

 「ここが良いから,他も良し」を避ける

 D 近隣誤差

 直近の出来事に振り回されない

 E 寛大化/厳格化傾向

 他の評価者ならどう見るだろう?

B 対比誤差
 「おれの若い頃は,このくらいできて当たり前だった」とか「パワーポイントをこんなに早く作成できるなんてすごい」など,評価者自身の価値観や能力を基準に相手を評価してしまうことを「対比誤差」と呼びます。自分自身と対比して評価するのではなく,各等級や職種に求められる役割や能力,行動にもとづいて評価しなくてはいけません。
C 論理誤差
 「営業成績が良好だから,積極性は高いはず」とか「専門知識が豊富だから,理解力も高いはず」といった,一見,論理的に関係がありそうな項目を推定的に評価してしまうことを「論理誤差」と呼びます。評価項目ごと1つひとつ,別個に評価していく必要があります。
D 近接誤差
 評価時期直前に素晴らしい業績をあげたとか,逆に失敗したということに対する評価の比重を高め,評価期間全体をとらえずに評価を下すことを「近接誤差」と呼びます。それ以前の出来事や取り組みを軽視せず,日頃から部下の行動や事象をメモに取るなど忘れないようにして,評価期間全体で評価判断をすることが求められます。
E 寛大化/厳格化傾向
 自分の部下をヒイキ目にとらえたり,自部門を有利に評価したりと,甘く評価をつけることを「寛大化傾向」と呼び,逆にこれくらいできて当然だと言わんばかりに評価を厳しくつけることを「厳格化傾向」と呼びます。通常,自分が甘いのか辛いのかというのはあまり認識できないものなので,評価者研修やその他の機会に,他の評価者と自分の評価結果を比較し,客観的に評価するよう努めましょう。

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