2 問題を発見し,問題を課題に落とし込む

 問題を見逃さずとらえていく「問題の発見・形成」の過程は,「問題の発見」⇒「問題の分析」⇒「問題の把握」という一連のプロセスがあります。そして,「問題の発見段階」では「問題を感じとる能力」が,「問題の分析段階」では「問題を考える能力」が,そして「原因の把握段階」では「問題を課題として提示する能力」が必要になります(図表4)。問題を考える能力は,一般にロジカルシンキング(論理的思考)といわれるものですが,この能力はスキル(手法)として確立されている内容も多くなっています。機会をみて,研究しておくといいでしょう。

◆ 問題を問題として感じとる段階

 問題を解決するには,まずそ7の前に問題を問題としてとらえることができなければなりません。そのときの重要な能力が「問題を問題として感じとれる感受性」です。
 職場の現状について何か問題がないかどうかを質問してみると,「問題はありません。まあ順調です」というような答え方をするリーダーがいますが,このようなリーダーは問題を問題として感じとるフィーリング(feeling)に欠けています。自職場の問題がはっきりとあげられないのは,マネジメントがおこなわれず,成り行きまかせの管理になっているから問題が見えてこないのです。「おや変だな……」「はてな?」と気づくためには次の2つのポイントを押さえておくことが前提です。

 ・目標(基準)が設定されていること
 ・現実がきちんと把握されていること


◆ 問題を考える段階の重要性

 問題に気づいたら,さらに「何が変なのだろうか?」「原因は何だろうか?」と考えるステップに入ります。問題解決がうまくできる人とそうでない人との違いは,このシンキング(thinking)の段階の上手,下手にあります。
 問題に気づいたら,即座にこの思考作業に移れるかどうかがポイントです。このときに大切なのが「事実」にもとづいて思考することです。個々のバラバラになっている事実を

もとに,相互に関連づけて共通性を持った「大きな事実」に成長させていく力が大切です。問題意識のある人は「小さな事実」から「大きな事実」に発展させます。「事実」については以下の点に注意しておきましょう。

・事実とは,見たり,聞いたり,感知したりしたことについての陳述で,実証可能なも
 のである
・事実はそのままの形で都合よく現れるとは限らない。不必要な事実もある
・同じ事実であっても問題解決上の価値が異なる
・必要な事実でも集まらない場合がある


◆ 問題を課題として提示する段階

 漠然とした問題では解決につながりません。問題を整理し,問題の性質や特性を踏まえたうえで,それを「課題」として提示していくことが大切です。そうしないと,解決への行動に結びつかないからです。この問題形成(課題形成)の段階がメーキング(making)の段階です。
 問題を課題として提示するには,口頭あるいは文書によって的確に表現しなければなりません。ここでの課題は,「目標仮説」といえるものですが,できれば1センテンスか2センテンスで表現できるようにします。課題として的確に表現できるということは,その問題が十分に練られていることを意味します。したがって,その解決に向けて,具体的に第一歩が踏み出せるのです。

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