2 どうしたらプレゼンテーションは成功するか

 今度は,どうしたらプレゼンテーションは成功するかを考えることにより,プレゼンテーションに必要なものは何かをより具体的にしていきましょう。

◆ プレゼンテーションの成功とは何か?

 何を成し遂げればプレゼンテーションは成功といえるのでしょうか。前節のとおり,目的を果たすことができればプレゼンテーションは成功となります。ごく当たり前に感じるでしょうが,この目的を果たすことを忘れたまま終了してしまうプレゼンテーションを数多く見かけます。皆さんも,「入社面接で話がウケたのに,不採用となった」という話を聞いたことがあると思いますが,これがその好例です。たとえ,ご自身が上手におしゃべりができ,聴き手から喝采を浴びても,目的を果たしていなければプレゼンテーションは成功とはいえません。
 では,なぜ,相手にウケたのに,目的を果たせなかったのでしょうか。目的をしっかり設定して,そこに向かってブレずにプレゼンテーションをすすめることができなかったからです。面接の例でいえば,話は面白いと思ってもらえたものの,自分の価値を高く見てもらえるように自己PRをすすめることには成功しなかったからです。プレゼンテーションの目的を果たすためには,その目的をしっかり設定・確認し,プレゼンテーション終了まで終始一貫して肝に銘じておくことが重要です。当たり前のようですが,プレゼンテーション自体に必死だったりすると,簡単に目的を見失ってしまいがちですので注意が必要です(図表3)。

 そして目的をしっかり設定したら,その目的=ゴールから逆算して,どんなステップを設ければ,聴き手が心を動かし,行動を起して,目的を果たすことができるかを考えてみましょう。「行動を起こす」から聴き手の心理がたどるステップを逆算していけば,自然と次のようなステップになるはずです。

 行動を起こす ← 心が動く(納得,感動) ← 興味を持つ ← 気になる

 このステップ,どこかで見たことがあると思った方も多いと思います。マーケティング用語の「AIDMA(アイドマ)」です。消費者が商品の存在に気づいてから購買に至るまでの心理のプロセスを,英語の頭文字で表した用語です。なお,同時進行のプレゼンテーションにおいては,「M(Memory,記憶)」のプロセスはほぼ存在しないので,「M」を除いた「AIDA(アイダ)」(これもマーケティング用語です)を適用します。そして,図表4のようにこのステップを見事に体現している好例がテレビの通販番組です。

 まさにこのステップを聴き手に踏んでもらえれば,プレゼンテーションの目的は果たせるはずです。プレゼンテーションでは,このようなステップをたくさん盛り込めるよう意識しましょう。
 そしてこのプロセスをスムーズに遂行するためには,聴き手の心をつかむ技術と聴き手を説得する技術が必要となってきます。次節以降でご説明いたします。

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