8.自分の立ち位置を把握し,思考を整理する ポジショニングマップ


◆ ポジショニングマップは,立ち位置を把握するためのツール

 ポジショニングマップ(Positioning Map)は,主にマーケティングの世界で活用されるフレームワークですが,一般的な業務において思考を整理するときにも役立ちます。ポジショニングとは「位置決め」「位置どり」のことです。マーケティングを例にとると,自分以外の存在(競合他社)と比較して,自分がどんな立ち位置にいるのかが明確になり,他社と比べて優位であるかを確認することができます。これを図に示したものがポジショニングマップです。

◆ ポジショニングマップの構成

 ポジショニングマップは,縦軸と横軸からなる二次元のマップです。2つの軸を交差させて4つの象限(セグメント)をつくりますが,このとき,たとえば「品質」と「価格」のように,相関関係のある2軸を選ばないようにします。必然的に比例関係,反比例関係などになってしまうからです(図表8-1)。
 ポジショニングマップは,マーケティングの手法であるSTP分析において特に効

果が発揮されます。STP分析は,Segmentation(セグメンテーション:市場細分化)Targeting(ターゲティング:ねらう市場の決定)Positioning(ポジショニング:自社の立ち位置の明確化)の頭文字を取ったものです。市場の中で,自分が対象としたい分野や客層を絞り込み,自分の立ち位置はどこにあるのかを把握して,自分の強みをアピールしていくという手法で,次の手順により行います。
@ Segmentation:市場を,共通のニーズや行動を持つグループに細分化します。
A Targeting:@によって細分化したグループから,自社にふさわしい市場を決めます。
B Positioning:Aで選定した標的市場において,競合他社と比較して,自社のサービスが相対的にどういう状態なのかを明らかにし,自社が強みを発揮できる戦略を決定します。

◆ 一般的な業務に応用したポジショニングマップ

 ポジショニングマップは,マーケティングの分野では,主に競争相手と比較した相対的な立ち位置を探るために活用されますが,一般的な業務においても,主に絶対的な立ち位置を決めたいときに役立ちます(図表8-2)。
 たとえば,製造現場では,職場の全員をグループに分けて清掃を行うことが多いと思いますが,グループ分けをどうするか,1回の清掃でどこまでやるのかなどを決めるときに,ポジショニングマップを作成すると思考が整理しやすくなります。

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