1.Z世代と呼ばれる新入社員の特徴を知る


◆ Z世代とは何か

 いま,日本では「Z世代」と呼ばれる若者世代が注目されています。なぜZなのかは,アメリカで,その上の世代をジェネレーションXやYと呼んでいることに起因しているといわれています。

X世代

ミレニアル世代

Z世代

1965〜1979年生まれ
現在41〜55歳

1980〜1995年生まれ
現在25〜40歳

1996〜2015年生まれ
現在5〜24歳

 大人になってからテクノ
 ロジーが台頭した世代。
 バブル景気を楽しんだ名
 残か,もっとも購買力が
 高い。テレビや新聞が主
 な情報源である反面,
 SNSなども場面に分けて
 使う。

 テクノロジーの台頭を目
 の当たりにしてきた世
 代。就職氷河期やテクノ
 ロジーによる変革を目の
 当たりにし,モノの所有
 にこだわらず堅実に生き
 ようとする。

 スマートフォンやSNSを
 当たり前のように使いこ
 なすデジタルネイティ
 ブ。インターネットを介
 して自分の考えを発信し
 たり,人脈を広げたり,
 他の世代にはないネット
 の使い方をする。

出典:TikTok For Business『Z世代白書(2020年6月)』

 ゆとり世代と,Z世代とはどのように違うのでしょうか。所説ありますが,ゆとり世代は,1987年〜2004年生まれ,もしくはZ世代と区別して,1987年〜1995年生まれまでといわれています。どちらの世代も,幼い頃から不景気を経験し,親世代のリストラなどを目の当たりにし,大学の奨学金をもらう人も増え,上の世代と比べて消費意欲が弱い世代です。とはいえ,Z世代は,超人手不足とアベノミクス景気によって,進学や就職活動において苦労をした経験の少ない世代です。面接に行けば内定が獲得できるだけでなく,逆求人サイトやスカウトなども増え,売り手市場を経験しているわけですから,就職が苦労するものだと思えない世代です。その流れから,仕事に向き合う心構え,取り組み方が異なるのも当然といえます。また,「ワーク・ライフ・バランス」「働き方改革」というキーワードとともに育ってきており,終身雇用で仕事(会社)に人生を没入させることが逆にカッコ悪いと感じているともいえるのではないでしょうか。

◆ 揺れ動く時代を生き抜くZ世代

 前述の『Z世代白書(2020年6月)』によれば,Z世代の特徴として,@多面性,A不完全性,Bつまみ食いを楽しむ“かじる”世代をあげています。
@ 多面性
 SNSのアカウントを使い分けたり,世間体を気にするといいながら個性を大事にしたり,向上心が強いと思いきやネガティブな思考を持つなど,人間だれしもが持っている二面性を白黒つけずにありのままに受け入れている姿を指しています。どれも本心であり,ひとつに絞らなければいけないとも思っていないわけですから,「〜べきである」「〜ねばならない」という決めつけが通用しない世代ともいえるのではないでしょうか。
A 不完全性
 情報が錯綜するインターネットとともに生きており,情報を不完全なものと理解しながら向き合っていることがわかります。「芸能人よりも友達やインフルエンサーのほうが親近感が湧いたり,信ぴょう性を感じたりする」「自分の日常に近い動画・投稿は信用できる」など,雑なものやネガティブなものすらも信頼の証と感じるようです。情報が多い時代に生きているからこそ,情報を鵜呑みにせず,多方面から検討したいという思いが含まれているように思えます。
B つまみ食いを楽しむ“かじる”世代
 「手を出したことが最終的にダメになったらと考える」「保険としていろいろ手を出している」「いろいろ試してどれか当たればいいなって。どれかで伸びたらそれでいきたい」など,ひとつのことに執着せずにさまざまなことに効率よく興味を持つ姿勢があります。幼い頃の不景気,東日本大震災などを経験しながらも,売り手市場で仕事に困らない状況を経験してきた不安定な世代だからこその生き抜き方のようにも思えます。物の所有が減っているのも同様の現象でしょう。

 これらのことを仕事に置き換えれば,自分に合わなければ転職の選択も早いでしょうし,上の世代からあるべき論を押しつけられれば,そのスイッチが早く作動するのではないでしょうか。価値観は育ってきた環境で変わりますから,彼らが悪いわけではありません。違いを認めながらも彼らを育てるにはどうすればよいか,このテキストを通じて学習していきましょう。

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