3.高パフォーマンス組織ができていること


◆ 組織にはびこるマイナス感情

 組織は,ちょっとしたバランスを崩すとマイナス感情が発生し,個人と組織の成長を阻害してしまいます。Z世代の不完全性と同じで,人間は,ポジティブとネガティブな感情の両側面を同時に持ち,受け入れながら生きています。これは絶妙なバランスを取りながら働いているからこそ成り立っているといえます。だからこそ,マイナス感情が起こりやすいポイントとバランスの取り方を知っておく必要があります。
 以下に示すように,「心身コンディション」「働きやすさ」「働きがい」の3側面は,どれかひとつが優れていればよいというものではなく,バランスが重要です。「働きがい」と「働きやすさ」が悪ければ,コンディションにも悪影響を及ぼし,「心身コンディション」が悪ければ,「働きやすさ」や「働きがい」にも悪影響を及ぼします。家は土台が悪くて傾く場合や風雨に耐え切れずに土台を壊してしまう場合があります。どちらもバランスよく対処することが重要なのです。
 リーダーとしては,新入社員だからといって,どちらかだけのケアでよいと決めつけることなく,両側面を意識して指導にあたることが重要であると頭に入れておきましょう。

◆ 高パフォーマンスな人材を育成するために

 人が活き活きと働くためには,前述のマイナス感情のコントロールをしたうえで,前向きな気持ちを持って前にすすんでもらう必要があります。

 慣れない仕事で心理的に不安を感じている新入社員は,組織の中での心理的安全性(この組織に自分がいてよいと思える・リスクをとって発言しても問題ない)が揺らぎやすいです。不安を感じている状態では,当然高いパフォーマンスは出せませんので,新入社員の意見も尊重し,一人の大人として認める姿勢が大事です。また,先の「働きがい」同様,仕事において適切なフィードバックを得て,成長実感を得ていることが重要です。
 上の図にあるように,高パフォーマンスな組織は,心理的安全性が高く,モチベーションと責任感が高いです。次のことを意識して,どのようなメッセージを伝えるべきか,自分の職場に置き換えて考えておきましょう。

 【高パフォーマンス人材を育成するために】
 ▶ 何を期待しているかをしっかり伝えている
 ▶ 周囲も含め,仕事について認めたり,褒めたりしている
 ▶ 相手の意見を尊重している
 ▶ 担当する仕事の重要性を伝えている
 ▶ 周囲の人材も真剣に仕事をしている
 ▶ 仕事を通じて成長を実感させている

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