4.4つのパーソナルスタイルに見られる代表的な特徴


パーソナルスタイルを活用する際の注意点

 前ページのパーソナルスタイル・チェックシートによって,おおよその自分のスタイルが特定できます。各スタイルの特徴やニーズを見ていく前に,パーソナルスタイルを活用するための注意点をまとめました。
 チェックシートで高得点だったスタイルは,現在の環境における思考と行動の傾向を表しています。しかし,そのスタイルも仕事や役割,メンバーなどによって変わることがあります。
 例えば,これまで事務職だった人が,営業職に配置転換した場合,一般職からマネージャに昇進した場合,また,メンバーの大幅な変更などによってもスタイルが変わるケースがあります。一方,自分自身の価値観や行動に強い意思が働き,それが習慣化されている場合は,スタイルが固定化されやすくなります。
 4つのスタイルにはそれぞれ特徴があり,長所と短所を併せ持ちますが,優劣はありません。「あの人は○○スタイルだから……」といったレッテル張りをしないように注意してください。パーソナルスタイルは,その人にとって最も効率的に違和感なく安心してとれる行動パターンです。スタイルの特徴を意識したコミュニケーションをとり,相手との信頼関係を高めるように活用しましょう。


各スタイルのニーズと行動傾向を理解する

 コミュニケーションの相手が自分と同じように感じて,行動するわけではありません。相手を動かすには,自分と相手のパーソナルスタイルの特徴を知り,それに応じたアプローチをとることで,より実効性のあるコミュニケーションとなります。以下,それぞれのスタイルの特徴を見ていきましょう。

ドライバー(行動型)の特徴 ― コントロール・野心・結果指向

 ドライバーは,仕事中心,成果重視の人で,ペースが早くせっかちです。このスタイルの人は行動的で,自分が思ったとおりに物事を進めようとする傾向があります。状況はすべて自分でコントロールすることを望み,人から指示されることを嫌います。プロセスよりも結果や成果を重視しているため,リスクを恐れずに目標を達成しようとします。自身の価値を高く評価しているのは長所といえますが,度が過ぎると人の気持ちや考えに無頓着になりやすいので,注意しなければなりません。
 職場では,組織の目標を明示して,どんなに困難な状況でも成果を求めて果敢にチャレンジしようとします。決断力や素早い判断は,現代のように変化の激しい環境では欠かせない特性です。ドライバーはチームに競争意識を植えつけて,高い成果に導いてくれる存在です。


エクスプレッサー(社交型)の特徴 ― 影響力・楽しさ・表現力

 社交家で,常に人と関わっていたいタイプです。人間関係を重視して,自分の感情や考えをはっきり表現しながら人に働きかけます。早いペースを好み,周りから関心を集め,自身の言動について称賛されることを欲します。何事にも楽観的で好奇心旺盛,自分のオリジナルなアイデアを話し,人を上手に巻き込んで,活気あるチャレンジをすることが得意であり,チームのムードメーカーとしてモチベーションを高めてくれます。
 エクスプレッサーは話が長く,時に脱線して話が飛躍するため,その場に混乱を招くこともありますが,職場では肯定的に人と関わり,組織を活性化します。周囲を元気づけて,やる気を引き出してくれるエクスプレッサーは,チームに明るさや活気をもたらす存在です。


エミアブル(友好型)の特徴 ― 忍耐・支援・チームプレイ

 現実的で具体的な方法を重視し,慣習を大事にするタイプです。人や組織の調和を重んじ,人の話を最後まで聴こうとします。その一方で,誰に対しても反論しないで意見を受け入れる姿勢に物足りなさを感じることがあります。ゆっくりしたペースを好み,一般的に人が好きで,周囲の気持ちに敏感です。
 また,相手の視点に立って物を見るのが得意で,気配り上手です。人を支援することを好み,相手の感情に配慮したコミュニケーションをとります。リスクをとるのは苦手で決断に時間もかかりますが,職場では非常に高い忍耐と持続力を発揮します。誰にでもできるように標準化した仕組みをつくったり,マニュアル化したり,組織的な成果に結びつける能力の持ち主です。エミアブルはチームの協調性と協働意識を高めて,目標達成に貢献してくれるでしょう。


アナリティカル(理論型)の特徴 ― 正確性・分析・実質本位

 正確さ,緻密さ,質の高さ,自分と他者への基準の高さ,合理性を重視する人です。事実やデータ,論理を大切にするあまり,周囲が息苦しさを感じるかもしれません。
 ゆっくりしたペースを好み,物事を客観的にとらえて分析することが得意です。行動する前に多くの情報を集めて状況を観察・分析して計画を立て,それから慎重に行動を起こします。仕事は完璧を目指し,失敗や間違いを嫌悪します。感情表現が苦手で,大人数よりも少人数や単独行動を好み,孤立してもそれほど気にしません。
 職場では感情や気分に流されず,事実とデータを読み取り,物事を大局的に見て全体像を描き,合理的なプランニングができる人です。アナリティカルはリスクをマネジメントし,ミスやクレームを減らしてチームに高い生産性をもたらします。

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