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人材育成が管理職に必須の業務であることにだれも異論はないと思います。しかしながら,皆さんはいま,実際に人材育成を十分に行えているでしょうか。おそらくほとんどの方は,「人材育成に十分に時間を割けていない」と感じているのではないでしょうか。下記のように,現代社会における雇用制度や職場の変化が,わたしたちから人材育成の機会を奪っているようです。
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人材育成が少なくなった原因
・終身雇用制度の衰退で,社員の在籍期間が短くなり,人材育成の価値が低
くなった
・業務のPC化により個人で完結する業務が多くなり,社員間のコミュニケ
ーションが減った
・人手不足により,プレーイングマネジャーが増え,管理職が人材育成をす
る余裕がなくなった
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◆ なぜ,人材育成が必要なのか?
いまや大卒新入社員の入社3年以内の離職率は32.0%(厚生労働省の統計より)。新卒社員の3人に1人が3年以内で辞めていきます。「すぐに辞めてしまう社員を育てる必要があるのか?」と思うと,つい人材育成の重要性など忘れてしまいそうです。
だからと言って,人も育てない,社員を大切にしない会社でよいのでしょうか。会社の離職率はどんどんあがってしまいます。「離職率が高いから,人を育てない,人を育てないから,どんどん社員が辞めていく」,悪循環となってしまいます。
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そして,離職率が高まれば,在籍した社員が蓄積したノウハウが社員の退社とともに消えてなくなってしまい,いつまでも新入社員に仕事のやり方を教えてばかりの生産性の低い会社となってしまいます。さらには,退社した社員にこれまで費やしてきた人件費,採用コスト,教育費等の投資のすべてが無駄となります。採用コストだけでも,ざっと新卒採用なら一人当たり50万円から100万円,中途採用なら年収の3割ほどといわれており,会社にとって非常に莫大な損失となります。
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離職の弊害
・会社にノウハウが蓄積されず,生産性があがらない
・社員の採用や教育,雇用に費やした多額の人件費・教育費が無駄になる
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このような事態を避けるためにも,「長く働く社員のために人材育成をする」という発想でなく,「社員が長く働きたくなる職場づくりのために人材育成をする」というふうに発想を変えてみることが,人手不足・人材不足の現代においては必要だといえます。人材を確保するために,やりがいのある職場にする。そのために,人材育成を行っていくことが,人材の確保と成長のみならず,会社の資源の有効活用や生産性の向上につながっていき,好循環を生み出します(図表1)。
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◆ 人材育成の方法にはどんなものがあるか?
このように現代社会においても重要な人材育成。では,人材育成を行うためには,具体的に何をすればよいのでしょうか。筆者が実際職場でつねに心がけている6つの「指導・育成」の方法を図表2に掲げてみました。まずは難しく考えず,日頃の業務の中でそれぞれを,「いま,これをやってみよう」と意識してみることからはじめてみましょう。以降では具体的に指導・育成の方法を学習していきたいと思います。
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