「相談」の意義と効用を確認しよう

◆ 相談をするとき,相談を受けるとき

 近年,成果主義の影響で会社側が個人の能力や業績を重視するあまり,職場で孤立し自分一人で仕事を抱え込んでいる若手社員が増えているそうです。高い自立意識は素晴らしいのですが,一人で完結できる仕事はそんなに多くはありません。より大きな仕事を成し遂げていくには,上司やまわりの人を巻き込み,まわりの力を借りる必要があります。
 自分自身の仕事の幅を広げ,仕事のステージをあげていくために,相談をうまく活用しましょう。あなたに仕事を任せ,その仕事の最終的な責任を持つ上司は,あなたが相談しに来ることをいつでも待っています。「相談のルール」をきちんと守れば上司は快く相談に応じてくれることでしょう。
 一方,部下や後輩の相談に乗る立場になると,日々の業務に追われながらどのように相談を受ければよいのか,またあまり相談に来ない部下・後輩とどう接したらよいか,悩んでいる方も多くいると思います。
 相談を受ける側にとっては,単に解決策を示すのではなく,部下の話をしっかりと受け止め,部下が自分で問題の解決策を考えて,それを実行できるよう背中を押してあげるというのが基本的なスタンスになります。
 また部下に限らず,他部門からの相談を受けるとその部門の仕事内容がわかり,視野が広がります。相手の立場に立って相談に乗ることで,会社を俯瞰してみるきっかけにもなります。今後,仕事の領域が広がり,部門をまたぐような大きな仕事に取り組んでいくには,部門の垣根を越え,多方面への相談や調整が必要になりますし,そのためには相談を受けたときは快く相手に協力する姿勢も必要です。
 相談をする側・受ける側どちらの立場においても,相談をうまく活用し自分やまわりの成長につなげていきましょう。

◆ 必ず自分の考えを持って相談する

 普段,あまり意識していないかもしれませんが,相談する際には守らなくてはならないルールがいくつかあります。まず,相談のルールについて考えていきましょう。
 筆者自身も過去に受けて困った相談に,次のようなものがあります。
 「○×の件でお客様よりクレームが来ていますが,どうしたらいいでしょうか?」
 「○×商品の販売価格はいくらに設定すればいいでしょうか?」
 このようないわゆる問題解決を丸投げするような相談内容に面食らった覚えがあります。
 「で,○○さんはどうしたいの?」と思わず聞き返したくなるような相談です。
 問題解決のための意思決定をするのが上司の役割だ,と考えているのかもしれません。あるいは,自分の権限外のことなので上司が決めるべきだ,と思っているかもしれません。上司に気をつかい,あえて自分の意見を差し控えていることもあるでしょう。でも残念ながら,それではご自身の成長はありません。相談を持ちかける際には自分はどうやって解決しようと考えているのか,必ず自分の意見を持って臨むべきです。どんな対応方法や解決策がよいのか,自分で考えて主体的に仕事をすすめてください。
 もし考え方すら全くイメージできないような場合は,どういう点に考慮して考えを展開させていけばよいか,相談の内容をより具体化させましょう。そのほうが上司や先輩は丸投げの相談よりも親身になって教えようという気持ちになってくれるはずです。
 相談する際は必ず自分の考えもセットで用意する,当たり前のことですが,特に依存心の強いタイプの人は注意が必要です。相談する際はぜひ,自分の考えを持って臨んでください。

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