9.メンバーが自発的に動く効果的な助言と相談


いつでもメンバーが気軽に相談できる環境づくり

 目標設定の個別面談でメンバーの業務内容や期限が決まった後,業務の進捗度はリーダーにとって気になるところです。メンバーの成長を考え,仕事を任せた後はいっさい口を出さないリーダーもいるでしょう。しかしながら,期限近くまで待っていても何の報告もなく,蓋を開けると結局,仕事は完了しておらず,リーダーが慌てて対応したという話もよく聞くところです。
 メンバーが業務に取り掛かっている間のリーダーの行動も,チームの成功を大きく左右します。メンバーの成熟度に応じて進捗報告のタイミングを決め,助言や相談の機会をつくることで,メンバーの自発性や仕事の完成度を高めることができます。以下に,助言と相談のポイントをあげます。

(1)仕事を任せきりにせず,リーダーが率先してホウレンソウを実施
 経験豊富で自立しており,必要な報告を適切に行うメンバーに対しては報告のタイミングを任せてもよい場合が多いでしょう。しかし,メンバーの経験が浅い場合や,挑戦的で難度の高い業務の場合は,「順調に仕事が進んでいるか?」「壁にぶつかって悩んでいないか?」などと気にかかります。
 その場合は,メンバーからのホウレンソウ報告連絡相談)を待たず,リーダーから働きかけることで仕事が円滑に進み,目的達成の確率が高まります。リーダーから積極的に声をかけ,ホウレンソウの時間を取りましょう。

(2)メンバーから話しかけられやすい雰囲気を普段からつくる
 メンバーにとって,ホウレンソウは少なからず緊張を強いられるものです。良くない経過や結果を伝える場合はなおさらです。「あの表情はイライラしているな」「今は忙しそうだから,報告は後にしよう」などと,メンバーはリーダーの様子を注意深く観察しています。逆に言えば,リーダーの態度ひとつで,せっかくの情報収集のチャンスを逃してしまっている恐れもあるのです。
 有能なリーダーは,自分の仕事だけに没頭せず,常にメンバーの動きに目を配り,気さくに声をかけています。声をかけられやすい雰囲気をつくっておくことは,いざというときに備えたリスク管理にもなるのです。

(3)メンバーからの相談に喜んで対応する姿勢を持つ
 悪い報告をしたときのリーダーの表情や返事は,メンバーの心に長く残ります。悪い報告こそ親身に対応し,いっしょに解決策を考える姿勢を見せることが大切です。また,メンバーが改善案を話しだすと,自分が否定された気持ちになり不機嫌になるリーダーもいますが,それではメンバーからの相談は減る一方です。
 忙しそうに書類やメールを読みながら報告を聞くのではなく,メンバーの報告する表情をしっかり見ることで,報告の背景までつかむことができます。また,相談の最後にリーダーが発した労いや激励の言葉を,メンバーはよく覚えているものです。「何かあれば助けてくれる」という安心感が,メンバーの行動のエンジンになるのです。

(4)答えを教えるのではなく,進め方を引き出す
 メンバーの自発性を高めるには,相談に対してどのような回答をするのかも重要です。ときにはリーダー自身の判断が求められる相談もありますが,まずはメンバーが自分なりの解決策を持っているのか聞き出しましょう。
 優秀なメンバーであれば「私は●●すればよいと考えます」と,自分なりの意見を用意して相談しますが,経験の浅いメンバーや高い壁にぶつかっているメンバーは,対処の仕方がわからず戸惑っている場合もあります。リーダーは,メンバーの悩みと彼らが持っている強みを組み合わせ,仕事をどのような順番で進めていけばよいのかを対話の中から引き出してあげてください。答えをすぐに教えることは簡単ですが,常に答えを与えてくれるリーダーの下ではメンバーの自発性は育ちません。

メンバーに考えさせる質問の例

  「自分としては,どのように解決したい?」
  「それを目標に設定したのはどうして?」
  「そのほかに改善すべき点はないかな?」
  「その施策はすぐに実行に移せるのかな?」
  「自分にサポートできることはないかな?」

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