10.メンバーの成長を促すフィードバック


フィードバックの種類

 目標と計画の設定後,メンバーがやり遂げてきた仕事に対して,期間の最後に成長点や課題を評価し,メンバーの仕事に対する意識と行動をブラッシュアップさせることが「フィードバック」であり,人材育成に欠かせないスキルの1つです。
 フィードバックは,メンバーへの伝え方によって「ポジティブフィードバック」と「ネガティブフィードバック」の2つに分けられます。

 ポジティブフィードバック 
 メンバーの仕事における行動や発言,態度から長所を見出し,前向きな言葉でフィードバックを行い,自発的な成長を促すことを指します。「褒めて伸ばす」ポジティブフィードバックは,メンバーに成長実感や自己効力感を与えやすく,その結果としてモチベーションを高められるのが利点です。相手が遠慮気味だったり,自信を失いかけていたりするときに効果を発揮します。

 ネガティブフィードバック 
 メンバーの仕事における行動や発言,態度に対して,減点評価的,あるいは否定的な意見でフィードバックを行い,メンバーのハングリー精神や気付き力,課題解決力を刺激するのがネガティブフィードバックです。成長に向かって努力を続けられる強い意志を持つメンバーに対しては,あえて高い目標を提示することで,本人のモチベーションを刺激します。
 ネガティブフィードバックは,相手やタイミングを間違えると,逆にモチベーションを著しく低下させ,信頼関係を崩壊させてしまう恐れもあり,注意が必要です。リーダーと決めた「高い目標」も,納得感が得られなければハラスメントの発生要件につながりかねません。
 ただし,否定的な意見をプラスの発想へと変換する力は,次のリーダー候補や後継者など幹部候補人材には将来的に必要とされる能力のため,ネガティブフィードバックのすべてを排除することは難しいといえます。普段のコミュニケーションを通じて,各メンバーがリーダーに対して「もっと認めてほしい」「評価してほしい」と考えているのか,「もっと指導してほしい」と考えているのかを見極めながら,両者を使い分けることが大切です。

フィードバックの手順とポイント

 フィードバックは,以下の3段階の手順と3つのポイントを踏まえながら行うようにしてください。

フィードバックの手順

 @ メンバーの良かった(または問題となった)行動・発言・態度を具体的に指摘する
 A その行動・発言・態度がもたらした良い結果(または良くない結果)を知らせる
 B 今後,メンバーにどのような行動・発言・態度を取ってほしいか伝える

フィードバックのポイント

 @ 個人の感情を挟まず,具体的な行動や事実をもとに評価する
 A 記憶が新鮮なうちにフィードバックを行う
 B 対面でもオンラインでも1対1で相手の顔を見ながら行う

 フィードバックの効果を高めるには,上記の3段階において,リーダーが感情を挟まず,客観的かつ具体的に話すことが大切です。「一生懸命頑張った」などの言葉で働きぶりを労うのは具体性に欠けます。フィードバックの各段階において,「すべての報告が期日どおりにできた」「チェック項目のうち,1つは報告が2日遅れた」など具体的な事実を伝えるように心がけましょう。
 また,フィードバックはできるだけ早く行います。振り返りの作業が遅れると,お互いに良かった行動や問題となった行動が思い出せなくなります。その結果,評価点や改善点がぼやけてしまい,メンバーの成長スピードも遅れます。仕事が完了したときだけでなく,メンバーの行動が止まっていると感じたとき,メンバーからフィードバックを求められたときなど,タイミングを逃さず即座にフィードバックを行いましょう。
 さらに,フィードバックはメールや電話で行うより,対面やオンラインなど1対1で相手の顔を見ながら行うと効果的です。顔を合わせることで,リーダーが得られる情報量は格段に増えます。メンバーの感情や考えが表情からも読み取ることができ,適切な言葉選びや改善点を指摘するタイミングが見極められます。

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