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下記は,来週初めてのプレゼンテーションを控えているCさんとその上司との会話です。
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上 司:Cさん,来週のプレゼンテーションの準備はすすんでいるのかな?
Cさん:はぁ〜,まぁ,何とか……。
上 司:どうした,元気ないな? 初めてのプレゼンテーションだぞ? 何か問題 あるのか?
Cさん:いえ……(あるけど,なんか言いにくいな)。
上 司:初めは誰でもいろいろ心配するけど,プレゼンテーションは慣れだよ!
Cさん:はい……。
上 司:まあ,思い切ってやってくれ! 期待しているぞ!
Cさん:わかりました……(そう言われるとよけい不安になるなぁ)。
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上司は,Cさんが何か悩んでいることに気がついてはいるようですが,深く考えることなく自分の言いたいことを言ったに過ぎません。そして会話も終わってしまいました。上司と部下の間でよく交わされる会話かもしれませんが,これでは,Cさんの悩みは解決しませんね。
では,次の会話はどうでしょうか?
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上 司:Cさん,来週のプレゼンテーションの準備はすすんでいるのかな?
Cさん:はぁ〜,まぁ,何とか……。
上 司:初めてのプレゼンテーションだね。何か問題があるようだけど話してみ ないかい?
Cさん:あっ,はい……。実は,演台に立って話すことに慣れていないのが不安 で……。一人で会議室や自宅でプレゼンテーションの練習はしているんです が。
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上司は,「何か問題があるようだけど話してみないかい?」とオープン・クエスチョンを使うことでCさんが演台に立って話すことへの不安だけでなく,その解決のために行っていることまで引き出すことができました。
そしてさらに会話も続きます。
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上 司:自宅でも練習なんて努力しているんだね。だいぶうまくなったんじゃない かい? でもそれでも不安が消えないのはどうしてだと思う?
Cさん:はい,自分でもうまくできたと思えることが多くなりました。ただ,本番 は一人じゃなくて,目の前に大勢の人がいることを考えるから不安が消 えないのかもしれません。
上 司:たしかにそうだね。それでは,どういう練習をしたら不安は消えると思 う?
Cさん:うーん……,あっ,そうか。大勢の前でプレゼンテーションの練習をす れば不安もだいぶ減るかもしれません。
上 司:よーし,課のみんなを集めてその前で練習したらいいんじゃないか? 私 からみんなに話しておくよ。
Cさん:ありがとうございます!!
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上司は,「努力しているんだね」と承認のスキルを使ってCさんを認めています。さらに,認めてもらって前向きな気持ちになっているCさんにオープン・クエスチョンを繰り返すことで,Cさん自身に本当の問題点を気づかせたばかりではなく,「大
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勢の前でプレゼンテーションの練習をすれば不安もだいぶ減るかもしれません」と,解決策までCさん自らが引き出したのです。そして本当に大勢の前で練習できるように(実際に行動に移せるように),課内での練習の機会を設けて(フォローして)くれています。
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●ポイント
@ オープン・クエスチョンによってCさんから悩みを聞き出したこと。そ れによって,さらに会話を続けられたこと
A Cさんの努力を承認することで心を開き,さらにいろいろ語らせて,本 当の課題を引き出せたこと
B Cさん自身が解決策を見出したこと
C Cさんが解決策を実行できるようフォローしていること
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