1.ITリテラシーとは何か? 「ITには何ができるか」を知り,使いこなす力

生産性が向上し仕事のパフォーマンスを高める

 「ITリテラシー」という言葉は,誰もが一度は見聞きしたことがあるはずです。しかし,それがどんな意味なのかを正確に理解している人は,案外少ないのではないでしょうか。「IT(Information Technology:情報技術)」の意味は何となくわかるかもしれませんが,「リテラシー」って何のことかわかりますか?
 リテラシー(Literacy)とは,読み書きする力という意味の英語です。
 私たちは,ふだん何げなく言葉を口にしていますが,相手や状況に応じて,単語や言い回しを巧みに使い分けています。1つひとつの単語がどんな意味を持ち,語りかける相手やTPOに応じてどんな言葉を発すればいいのかという“作法”が,知らず知らずのうちに身についているからです。つまり,すべての日本人は「日本語リテラシー」を自然に習得できているといえます。
 同じように,ITリテラシーとは,パソコンやスマートフォン,インターネットやアプリを「自然に使いこなせる力」だと理解すればわかりやすいでしょう。
 もちろん,「使いこなせる」といっても,そのレベルはさまざまです。「キーボードを使って文字が入力できる」とか,「メールを送受信できる」という初歩的なレベルの人もいれば,「エクセル(表計算ソフト)を駆使して営業結果を整理・分析する」「パワーポイント(プレゼンテーションツール)を使って営業用のプレゼン資料を作成する」といったように,高度な使いこなし方をしている人もいるはずです。
 “使いこなす”ためには,そもそもITを使うと「何ができるのか?」を理解しなければなりません。知っている言葉の数や使った経験が多くなるほど会話が上達するように,ITを使って「できること」の引き出しをたくさん持っている人のほうが,その知識の組み合わせによって,ITをもっと効率よく,効果的に使いこなせるようになります。その結果,生産性も向上し,仕事のパフォーマンス(成果)が高まるわけです。

ライバル会社と同じ土俵に立つために

 1人ひとりの社員がITリテラシーを高め,仕事の生産性やパフォーマンスを向上させれば,当然ながら企業の業績アップにもつながります。現在は「デジタル社会」といわれ,業務やサービスの提供においてデジタル技術の活用は必須となっています。社員に十分なITリテラシーが備わっていないと,そうした時代の要請に応えることができず,ライバルの会社と同じ土俵にすら立てなくなってしまう恐れがあります。
 すべての社員がITを自由に使いこなせるようにすることは,もはや会社として当たり前の取り組みになっているといってもいいでしょう。
 昔は,「読み書きそろばん」が一人前の社会人になるために必須の習い事でした。日本人として,日本語を自然に読み書きできる力,つまり「日本語リテラシー」が最低限のビジネススキルとして求められたわけです。
 同様に,ビジネスにおけるデジタルの活用が当たり前になった今日では,ITリテラシーを備えることがビジネスパーソンにとって最低限の条件となっています。
 ITリテラシーは,実践で身につけることもできますが,「学びの場」を設けて体系的に知識やノウハウを習得させたほうが,より早く実務に活かせるものです。
 私たちが自然に日本語を使いこなせているのは,実践だけでなく,幼児教育から義務教育と,長く日本語を学ぶ機会があったからにほかなりません。
 社員のITリテラシーを高めるためには,会社が学びの機会を積極的に提供し,知識やノウハウを身につけさせることが重要だといえそうです。ITやデジタルツールと接する機会が少なかった中高年の社員が多い企業は,なおさら学びの場を設けたほうがいいでしょう。生まれたときからデジタルに親しんでいる若手社員の力を十分に発揮させ,全社で業務の連携を図るためにも,管理職クラスのITリテラシーを高めることは重要です。

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