6.どのような人材が必要とされるか? DXを推進できる人材の採用・育成が急務

デジタルとビジネスの知識を兼ね備えた人材が必要

 大手企業のITやデジタルに関する人材育成の動向を見ると,全社員のITリテラシーを底上げするのと同時に,自社のDXを推進するため,より専門性の高いデジタル人材を育成しようとする傾向の強いことがうかがえます。そうした人材を「DX人材」と呼ぶこともあります。
 DX人材の定義は明確に定まっていませんが,経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」では以下のように定義しています。

 @ DX推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材
 A 各事業部門において,業務内容に精通しつつ,デジタルで何ができるか
  を理解し,DXの取り組みをリードする人材,その実行を担っていく人材

 DXは「デジタル技術を採り入れること」だと誤解されがちですが,それだけでは不十分です。その技術を使って,いかに業務やサービス,ビジネスモデルなどを変革していくかが重要なテーマなのです。そして,これらの変革を実践するためには,デジタルに関する知識や能力だけでなく,業務やサービスに関する深い知識と経験も兼ね備えていなければなりません。
 言い換えれば,すでに十分な業務知識を持っている社員がデジタルの知識を身につければ,DX推進の役割を担える可能性が高まります。もちろん,人には向き不向きがあり,興味を持ってデジタル技術を吸収しようという意欲のある社員でなければ,DX人材として育て上げるのは難しいかもしれません。ビジネスに関する十分な知識と経験を持ち,なおかつ新しい知識を積極的に学び取ろうとする意欲を持った人材を選抜することが望ましいでしょう。

DX人材にはどのような職種があるか

 ひと口にDX人材といっても,その役割や,必要とされる知識,能力はさまざまです。主要なDX人材の職種について解説します。

●ビジネスプロデューサー
 DXを推進する全社プロジェクトのリーダー役です。デジタルを使って,どのようなビジネスや事業のあり方を目指していくのかという“全体像”を描き,その実現に向けてプロジェクト全体を統括していきます。業務やデジタル技術に関する深い知識だけでなく,組織を引っ張っていくリーダーシップも求められます。
●ビジネスデザイナー
 ビジネスプロデューサーが描いたDXの“全体像”に沿って,個別の企画立案や,企画の実行を担う役割です。デジタル技術を利用した業務プロセス変革や,新サービスの創出といった具体的なプロジェクトをリードします。プロジェクトチームをまとめ上げ,作業を円滑に進めるためのファシリテーション能力のほか,得意先や外部の協力先との折衝能力などが要求されます。
●テックリード
 DXプロジェクトにおいて,主にシステムを設計するエンジニアチームのリーダー役を担います。ビジネスプロデューサーやビジネスデザイナーが描き出した企画を,より具体的な仕組みやプロセスに落とし込んでいきます。設計・開発に関する専門知識とともに,専門外の人にも仕組みをわかりやすく説明できるようなコミュニケーション能力が求められます。
●データサイエンティスト
 DXでは,社内外から集めた膨大なデータを整理・分析し,活用することが成功のカギを握ります。データサイエンティストは,統計学をはじめとする科学的アプローチによって,その役割を果たします。

Back to Page 1.

Page 2.

Go to Page 3.

 

 

目次へ戻る