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◆ OJTの基本が守られていないから?
  
 何事もそうですが,うまくいかない場合は,たいていは基本のところで原則が守られていないために起きていることが多いものです。OJTがうまくいっていないようでしたら,原理原則(原点)に戻ってチェックしてみることが第一です。 
 OJTには3つの側面があると述べました。この3側面についてチェックしてみましょう。
  
@ 個別指導(マン・ツー・マン・コーチ)はどうか? 
 まず,仕事が繁忙を極め,個別指導をするゆとりがない場合が考えられます。しかし,いくら忙しいといっても,定時間中がムリならば,時間外に少しでも取れるのではないでしょうか。 
 多くの場合,口ではOJTが重要だと言いながら,優先順序からするとあとのほうに位置づけられているため,結局後まわしになってしまっていることが少なくないのです。 
 これは,OJTが本当に重要だと思っていないことに原因があります。本当に重要なら,たくさんやらねばならないことがある中で,OJTが優先順位で上から3つないし5つ以内に置かれていなくてはなりません。 
 つまるところ,リーダーの重要順位(または優先順位)判断力にいちばんの原因があるということになりそうです。 
 もう1つは,OJTをやっているのにうまくいかないとすれば,個別指導は相手の個人差と個性に応じてコーチしなければならないのに,ワンパターンなやり方をしているためではないでしょうか。
  
A 口頭によるOJTはどうか? 
 これは朝礼にしても,ミーティングにしても,個別の話し合いにしても,リーダーがひとりよがりで,相手がよくわかっていないためではないでしょうか。 
 これは,リーダーのコミュニケーション能力,説得力のまずさからきています。 
 「人を見て法を説け」ということばがありますが,相手のレベルに応じて,相手にわかることばで,相手が興味を持っていることに結びつけて話すことです。ひとりよがりではいけません。相手が理解したことを見届け,確認して,次のことばを発するようにしたいものです。
  
B 示範(態度教育)はどうか? 
 示範(態度教育)はOJTの本命だけに,これがうまくいかずにOJTが不発になっている場合がいちばん多いのではないでしょうか。 
 リーダーは「やる気を出せ」と言ったならば,自分の行動の中で,やる気を出すとはこういうことなのだと,模範を示さなくてはなりません。メンバーは見ていないフリをして,よく見ているものです。ことばとやっていることが違っていれば,間違いなく,ことばよりも行動,行為のほうを信じます。
  
◆ 言行不一致では人はついてこない
  
 「タバコは有害無益,俺は絶対に吸わないぞ」と公言していたリーダーが,こっそり隠れてタバコを吸っているのを見つけられたら,それ以後はリーダーの言うことはだれも信用しなくなり,その権威は大きく失墜してしまいます。 
 ことばと行為の関係では ―― 
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